多くの方が「うちには財産が無いから相続なんて関係ない」と思っていますが、これは皆さんが「プラス」の財産だけを考えているからです。
相続が発生すると「相続財産」を相続人が取得しますが、そこには「プラス」だけでなく「マイナス」の財産も含まれます。
事業等を営まれている場合は特にそうですが、マイナスがいくらぐらいあるかによって、廃業(相続放棄)する、全部相続して事業(財産)を売却する、一部を相続するなど決める必要があります。
今回は判断をするために重要になる「マイナス」の財産調査方法についてお話します。
まずは亡くなった方が金融機関に借入をしていたのであれば、死亡により借入の返済がストップします。そうすると大体2カ月ぐらいを目安に待っていればその間に債権者から督促状や場合によっては電話がかかってきます。(おそらくは亡くなった方の携帯に連絡がありますが、この場合は必ず出ることをお勧めします。着信があったら折り返しをしましょう。)
同時に亡くなった方の保管物もチェックして下さい。家族に内緒で借り入れをしている場合は契約書(金銭消費貸借契約書)を目立たない場所に保管していることも多いです。遺品を整理しているときに見つかることも多いです。
このような形で見つかった借入は債権者のリスト(債権者一覧表)にまとめてください
次に亡くなった方の通帳を確認しましょう。
金融機関から借り入れのある場合は毎月振り込みや引き落としでローン等の返済をしている可能性があります。その場合は通帳を見れば返済履歴がわかります。
上記の対応でも確認できない、もしくはより精度の高い調査としては信用情報機関に問い合わせをすることで、大抵の金融機関との借入内容が把握できます。以下信用情報機関の詳細です。
尚、法定相続人から委任を受けた行政書士、司法書士、弁護士等が開示請求をすることも可能です。
①JICC((株)日本信用情報機構)
②CIC((株)シー・アイ・シー)
③KSC(全国銀行個人信用情報センター)
各機関の専用ホームページを閲覧すると、問い合わせ先や債務調査の申請方法・手続き方法などが記載されています(上記をクリックすると各機関にWEBサイトへ移行します)。それぞれ、別の機関なので各々に調査依頼をかける必要があります。
亡くなった方の住所所在地の役所に問い合わせをして税金の滞納がなかったのかを調べます。
残念ながらこの部分に関しましては、口座もしくは事業をされている方であればその帳簿、あるいは借用証書等の書面以外では把握することはできません。3か月以内の熟慮期間に把握することができない場合は期間を伸長することも可能です。
いかがでしょうか?債務の調査をするだけでも思っていた以上に時間がかかり大変です。さらに、判断をするにあたり「プラス」の財産調査も必要になります(不動産など)。その上でまず相続するのか否かを判断し(上記にも記載しておりますが、期間が足りない場合は伸長の手続きをしましょう!)、その後財産の承継、処分、名義の変更、登記など手続きは多岐にわたります。事前の準備はもちろんのこと、いざ相続となった場合でも慌てずに順序よく対処することが必要ですし、すべて専門家に相談するのも一つかと思います。